DDSとはなにか?

【ドラッグデリバリーシステムとは】

ドラッグデリバリーシステム(drug delivery system:DDS)とは、体内での薬物分布を制御することで、薬物の効果を最大限に高め、副作用を最小限に抑えることを目的とした技術を指します。

私たちが何らかの病気をして、薬を飲んだ時、実際に幹部にまでたどり着いて効き目を発揮するのは、飲んだ後の僅か100分の1以下過ぎないことをご存知でしょうか?薬の成分の中には、生体内で速やかに分解されて効力がなくなるものもあります。あるいは、必要のない部位に作用し副作用を引き起こす事もあります。薬の持つこのような欠点を改善する技術がDDS(ドラッグデリバリーシステム/薬物輸送システム)なのです。
ドラッグデリバリーシステムの定義として、薬の投与部位から作用発現部位に至るまで薬物の体内動態を1つのシステムとして捉え、コントロール制御する事により薬の効用を最大限に高める一方で、薬の量や投与回数、副作用を軽減し、患者の負担を減らすことに大きく貢献します。さらに「必要な薬物を必要な時間、適切な場所」に届ける技術であるDDS(ドラッグデリバリーシステム)にはこれまで治療が困難とされてきた様々な疾病、難治性希少疾患の治療にも活路を開くものとして、大きな期待が寄せられています。

DDS(ドラッグデリバリーシステム)必要性

今や2人に1人は癌にかかり、3人に1人は癌で命を落としています。このような中、抗がん剤などに癌細胞にだけ集中的に届ける技術、DDS(ドラッグデリバリーシステム)が注目されております。 現在、がんの治療方法は大きく分けて3通りあります。「手術療法」「薬物療法」「放射線療法」です。しかし、いずれも課題を抱えているのが現状です。手術治療の場合、患部へメスを入れるため治癒(ちゆ)に時間がかかる上、微細な癌細胞を他へ付着させ転移を招く恐れもあり、まだ手術できない箇所にある癌は摘出できません。薬物療法や放射線療法の場合、癌細胞だけでなく正常な細胞にまで影響を与えてしまうため患者は強い副作用に苦しめられます。それに対し、DDS(ドラッグデリバリーシステム)技術を使用すると、血管を通って血液と一緒に運ばれた極小のカプセルが、癌細胞だけに蓄積し、そこで初めて封入しておいた抗がん剤を放出するという仕組みのため、正常な細胞にほとんど影響を与えません。副作用を起こす心配がない上に、効率良く癌細胞を死滅させることができるのです。DDS(ドラッグデリバリーシステム)は疾患の用途に合わせて様々な開発が進められています。

DDS(ドラッグデリバリーシステム)抗がん剤

非常に小さな入れ物である「ナノカプセル」に抗がん剤を閉じ込める事で、癌細胞だけをターゲットにできる、DDS(ドラッグデリバリーシステム)技術は、使われる”容器”の大きさに秘密があります。抗がん剤の入れ物となる「ナノカプセル」は直径50ナノメートル(ナノは10億分の1)の球形をしています。血管は「内皮細胞」という細胞で作られており、隣り合う内皮細胞の間には栄養や酵素が行き来できるように小さな穴が開いています。薬物はこの穴を通ることで細胞に到達することができます。しかし、このままでは副作用があらわれる原因にもなってしまいます。抗がん剤だけだと、この隙間を通過できてしまうので、正常な細胞にも抗がん剤が入ってしまい、その結果、副作用が出てしまいます。そこで抗がん剤をナノカプセルで包みます。すると、全体のサイズが大きくなるため、隙間を通り抜けることはできません。その結果、正常な細胞には抗がん剤が届かず、副作用は出なくなります。一方、癌細胞の周囲の血管はこの隙間が大きく開いているという特徴があるため、ナノカプセルは癌細胞の周囲の血管から漏れ出し、癌細胞だけをターゲットにして、抗がん剤を届ける事ができるのです。 加えて通常、血管から細胞に流入した物質はリンパ管を通して外に排出されます。ところが、癌細胞は未熟な細胞のためリンパ管も未発達で、一度、癌細胞の中に入り込んだ後の、抗がん剤を放出する仕組みにも特徴があります。これは、癌細胞と正常な細胞とではpH水素イオン指数が異なることなどをりようしています。 癌細胞は正常な細胞に比べてpH水素イオン指数が低く酸性が強い特徴があります。その特徴を利用してpH水素イオン指数が下がり、酸性が強くなるとナノカプセルと抗がん剤の間の結合が自動的に切断され、ナノカプセルの中から、抗がん剤が放出されつように設計されているのです。

DDS(ドラッグデリバリーシステム)種類

DDS(ドラッグデリバリーシステム)の運搬方法には①薬物運搬体(キャリアー)の粒子径や親水性などの物理化学的性質を利用して薬物の体内動態を抑制する方法と、②薬物運搬体に、特殊な仕組み(たとえば、抗体や糖鎖などを結合したキャリアーを利用)を付け加えて標的組織への指向性を制御する方法があります。そこに使われる材料は、無機・有機化合物、低分子・高分子化学物の多岐に渡りますが、薬に使われるDDS(ドラッグデリバリーシステム)は、シクロデキストリンや、GFRパウダーなどが使用されています。その他、多糖類、ペプチド、たんぱく質、核酸などの天然ポリマー、生分解性の合成高分子などが使用されています。形態としては可溶性ポリマー、可溶性(コロイド状)微粒子、不溶性微粒子、ゲル状のものなどがあります。現在では世界中の多くの医療現場で使用されていると同時に、身体の部位に適した独自のDDS(ドラッグデリバリーシステム)技術の開発や新たな研究も進められています。

【DDSのメリットと種類】

DDSのメリット

薬剤が目的の場所に効率良く届くことで、的確な効果が得られます。また、投薬量の減少も期待できます。
投薬が必要な場所でのみ薬剤が働くので、副作用を抑えることができます。

DDSの種類

プロドラッグ
ある薬剤に別の分子を付加し、そのままの状態では薬効を示さないように作られています。
体内の酵素などにより、付加した分子が外れることで薬効を示すようになります。
アンテドラッグ
薬効を発揮した後、すぐに代謝・分解されるように工夫されているため、副作用が低減されます。
徐放製剤
長時間にわたって、一定量の薬物を放出するように工夫されています。

【DDSとナノテクノロジー】

原子・分子レベルで人工的に作られた物質を機器等に応用する技術をナノテクノロジーと言いますが、精密機器等での利用以外に医療分野でも応用が期待されています。
具体的には、ナノレベルの大きさで作られた輸送用の分子に薬剤を内包し、その動きを外部から制御することで目的の場所まで輸送するための研究や、特定の遺伝子をナノレベルの分子を用いて輸送することで、特定の部位での遺伝子発現を制御するなどの研究が進められています。
近い将来、ナノレベルの物質を利用したDDSが実用化されることが期待できます。

ドラッグデリバリーシステム

(Drug Delivery System, DDS)とは、体内の薬物分布を量的・空間的・時間的に制御し、コントロールする薬物伝達システムのことである。 薬物輸送(送達)システムとも呼ばれる。

DDSのメリットと種類

DDSのメリット

この技術を使うことにより期待されることは大きく以下の5つに還元できる。
  1. 薬物作用の分離 – 特定の作用だけを取り出す、または抑え込む。
  2. 効果の増強/発現 – 効果がより的確なものとなり、再現性も向上する。投資量の削減や適用拡大(新しい効能の発現など)が期待できる。
  3. 副作用の軽減 – 安全域の拡大を図ることにより、QOLを改善し、患者の負担を軽減する。また、副作用から製薬化が頓挫した化合物を薬として復活させることもできる。
  4. 使用性の改善 – 患者および医療従事者の負担を軽くし、薬物の服用指示違反(コンプライアンス不順守)問題の解消につながる。
  5. 経済性 – 製品のライフサイクルの延長、差別化が図れる。また、医療費や関連費用の削減ができる。研究・開発の効率化が期待できる。

DDSの種類

薬物を含む粒子の径

粒子(リポソームやミセル)の径のこと。

  1. 直径150nm以下の小さな粒子を皮下投与すると、毛細血管壁を通過できないが毛細リンパ管には侵入できる。リンパ管は癌転移や細菌感染の主な経路であるので、抗がん剤や抗生物質を投与する際に適している。
  2. 直径100nm以下の粒子を静脈内に投与すると、腫瘍組織内の新生血管は壁が粗いので、血管壁を通過する。従って粒子が高濃度に腫瘍内に集積する。
  3. 直径5μm程度の粒子を静脈内投与すると、毛細血管を通過できないので肺に粒子が集積する。
抗体等の使用

トランスフェリンレセプターや他の腫瘍特異抗原に結合する物質(トランスフェリンや各種抗体)を粒子表面に固定すると、粒子は目標組織に高濃度に集積する。

徐放製剤

そのままでは短時間で吸収・分解されてしまう薬物を長時間にわたって一定の速度で放出し、体内への供給を持続させるよう工夫された製剤。

経皮吸収

経皮吸収剤では、そのままでは吸収されにくい薬物をより多く吸収させるためのデリバリーシステムが開発されている。 経皮吸収を促進させる技術として、電流を使ったイオン導入や超音波を使った超音波導入、極小針で皮膚に穴をあけるマイクロニードルがある。

引用元:ドラッグデリバリーシステム – Wikipedia

DDSとナノテクノロジー

原子・分子レベルで人工的に作られた物質を機器等に応用する技術をナノテクノロジーと言いますが、精密機器等での利用以外に医療分野でも応用が期待されています。

具体的には、ナノレベルの大きさで作られた輸送用の分子に薬剤を内包し、その動きを外部から制御することで目的の場所まで輸送するための研究や、特定の遺伝子をナノレベルの分子を用いて輸送することで、特定の部位での遺伝子発現を制御するなどの研究が進められています。

近い将来、ナノレベルの物質を利用したDDSが実用化されることが期待できます。

  • 引用元:ドラッグデリバリーシステム(DDS)|研究用語辞典|研究.net
  • 他参考ページ:がんを狙い撃つ「ドラッグ・デリバリー・システム」

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